詰将棋を解いたことがある方は
「詰将棋が難しすぎて解けない。」
「解けたと思ったけど、相手の受けの好手を見逃して、間違えてしまった。」
といった経験を持ったことが一度はあることでしょう。このようなことにならないためには、詰将棋や対局を繰り返して棋力を上げたり、詰将棋独特の手筋やテクニックを知る必要があるでしょう。
それに対して、以下のような疑問や経験を持ったことはないでしょうか?
「解けたと思うけど、その手順が正解なのか不正解なのかがわからない。」
「相手の手も全て読み切ったはずなのに、不正解と言われた。」
「詰将棋は駒が余らないはずなのに、駒が余った。」
「詰将棋には余詰がないはずなのに、複数の手順がある。」
これらの疑問が発生する場合、ほとんどの場合は棋力やテクニック等は原因ではありません。
(詰将棋の問題自体に不備がなければ)、全て「詰将棋のルールを正確に覚えていない」ことが原因なのです。
詰将棋を解くためには、棋力やテクニック等はもちろん重要です。しかし、それよりも何よりも、ルールを知っていなければ、どれだけ強くても、全ての変化を読み切っていても、正答にたどり着けない場合があります。
本サイトでは、詰将棋のルールを曖昧に覚えている方や、詰将棋を初めて解いてみようと思っている方のために、ルールを複数の記事にわけて、具体例を交えながら説明していこうと思います。
本記事では概要を一覧で記載するにとどめ、各リンク先における別記事にて、詳細を記載していきます。
詰将棋のルール
詰将棋のルールは、各書籍やWEBサイトなどによって様々な表現で書かれています。表現が媒体によって異なるのは、様々なケースによって表現に矛盾が生じないように工夫をされているからだと思います。
本サイトでは詰将棋の「解く側の」ルールを、以下のように表記することにします。細かい言葉遣いなどを除けば、他サイトや書籍と大体同じような内容になるはずです。
※「解く側の」とあえて記載した理由は詰将棋を「作る」場合は、更にいくつか必要な決まりごとがあるためです。この辺は別記事で紹介します。
これだけは知っておくべき!基本中の基本!
- 先手(攻方)は、王手の連続で後手(以下、「玉方」)の玉を詰ます。
- 玉方は、必ず、王手を回避する手を指す。回避する手がなくなった時点で「詰み」とする。
- 駒の動かし方や禁じ手は、通常の将棋と同じである。
- 攻方は、途中で取った駒を持ち駒として使用できる。
- 玉方は、駒の1セットのうち、玉、攻方の持ち駒、盤上の駒を除く、全ての駒を合駒として利用できる。
- 玉方は、無駄な合駒はしてはならない。
以上のルールは、詰将棋のルールの中でも、最も基本的なものとなります。特に、最初の2つは、「ルール」というよりは「定義」とも言えるかもしれません。これらを知らないと、いくら将棋が強くても正解を回答することができない可能性が高くなりますので、絶対に覚えるようにしてください。
詳しいことは、以下の記事に記載しております。
これも非常に重要!玉方の選択に関するルール。
- 玉方が王手を回避する手が複数ある場合、最長で最善となる手を選択する。
このルールは、2手目や4手目等、「玉方の指し手」に関するルールです。アプリの詰将棋に慣れてる方の中には、「玉方の手って自分で考えないといけないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、詰将棋の難しさ、面白さは、攻方の手を探すことだけではありません。玉方がどんな手を指せばより延命でき、その上でどのように詰ませば良いかを見つけられて、初めて「解けた」と言えるのです。
以下の記事では、その「玉方の指し手」に関するルールを紹介します。「最長」や「最善」等、曖昧でよくわからない表現についても、具体的な例を挙げて説明していきます。
できれば知っておいた方が良い、攻方の選択に関するルール。
- 攻め方は迂回手順を指してはいけない。
- 非限定がある場合、どの手を選択しても良い。
攻方の指し手に関するルールです。本来、詰将棋は、攻方の手は正解手順を選ばないと絶対に詰まないように作られています。しかし、そうではないケースが多々あります。その際、どれを選んでも正解の事もありますが、おかしな手順を選んでしまうと、「詰んでいるのに不正解」とされてしまうことがあります。
以下の記事では、そのように、攻方の詰ます手が複数ある場合に、どの手を選べばいいかについて説明します。上の2つのルール(基礎ルールと玉方の指し手に関するルール)に比べれば、重要度はそれほど高くありません。
知らなくても問題ない!?特殊ルール
- 玉方の王手の回避方法で、攻方の持ち駒が余らない順と、それより2手長いが駒が余る順がある場合、前者を最善手とする。
このルールは、はっきり言って、知らなくてもほとんど問題ありません。普通の詰将棋作家や、詰将棋マニアの方以外は、(将棋の強い方であっても)知らない方も多いです。詰将棋初心者の方は、下手にこの記事を読んでしまうと、余計に混乱してしまうかもしれません。
しかし、稀にですが、このルールを知らないと、正答にたどり着けない問題が出題されることがあります。特に、古い書籍ではその可能性が若干高くなっております。これまでのルールをきちんとマスターして、詰将棋に慣れてきた方のみ、お読みいただくことをお勧めいたします。また、詰将棋を「創作」しようと思っている方にとっては、この記事も非常に重要な内容となります。
まとめ
思いつくがままにルールを列挙していきましたが…。
おそらく詰将棋に慣れていない方にとっては「何言ってんのアンタ…?」とチンプンカンプンな感じでしょう。
上に挙げた全てのルールを、実例を交えながら詳しく説明していきますので、どうか嫌にならずに各記事を読んでいただければ幸いです。
詰将棋初心者の方や、初心に帰ってルールを学んでみたい方は、まず次の記事からご覧ください。